大腸の検査について
排便時の出血
排便時に出血が見られたからといって、必ずしも大腸がんの疑いがあるという訳ではありません。
- 大腸がん
- 大腸ポリープ
- 大腸の炎症
- 痔
など、血便には様々な原因が考えられます。
便潜血検査/検便
大腸に何らかの疾患がある場合、便が大腸を通過する際に、組織が擦れて出血する可能性が高いです。便潜血検査によって、「便に混じったわずかな血液」の有無を調べることができます。
検査は計2回行って頂き、1回目・2回目の結果でどちらかが陽性反応であれば、精密検査(大腸カメラ)をさせて頂くことをおすすめします。異常がなければ、経過観察させて頂きます。
便潜血検査で陰性だった場合でも、発がんの危険性が上昇する40歳を過ぎた方に、大腸がん検診をおすすめしています。
大腸カメラ/大腸内視鏡検査
便潜血検査では、本当は大腸がんがあるのにも関わらず陰性になってしまう(偽陰性)ケースがあります。逆に、大腸がんがないにも関わらず陽性になる(偽陽性)こともあるのです。あくまでも便潜血検査は、疑わしい結果の時に精査をできるという拾い上げるための検査です。
いち早く病変を確認できる大腸カメラ
血便が出るような状態に進行するまで、病変に気づくのが遅れてしまうことは避けたいものです。
進行する前の段階で、大腸内視鏡で検査することができれば、早期に病変を確認することができます。
大腸カメラの重要性
大腸の検査で分かる病気と症状
死亡数の多い「大腸がん」
「大腸がん」は、男女の「がんによる死亡数」の第2位となる病気です。特に女性は第1位の病気であり、患う方が多いとされています。
がんを患うと、
- 出血・血便
- 腹痛
- 便秘・下痢
- 便が細くなる
などの症状が出はじめます。
この頃には、すでに進行している可能性が高い(初期には症状が現れることは少ない)ため、定期的に大腸カメラ(大腸内視鏡検査)・大腸がん検診を受けられることをおすすめいたします。
そのほかの病気
- 大腸ポリープ
- 大腸の炎症
→ 潰瘍性大腸炎/虚血性腸炎/感染性腸炎 - 大腸憩室出血
- クローン病
→ 消化管に炎症や潰瘍を起こす、原因不明の指定難病
早期発見によるメリット
悪性度が胃がんよりも低い
大腸がんは、早期の発見であれば(手術ができる状態のうちであれば)治る可能性が高い「がん」です。大腸ポリープが見つかった段階で、除去することができれば、事前に「がんを予防する」ことができます。
内視鏡での治療ができる
病変が小さく浅い早期の場合、手術も容易なケースが多く、お腹を開かずに内視鏡で治療することができるとされています。そのため、お身体への負担は少なく、手術費用も高額にはなりません。
治療は、
- 病変の部位や大きさ
- これまでの病気
- 全身状態
を考慮して、治療方法を選択します。
検査前日までのながれ
事前受診・準備について
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)と胃内視鏡検査(胃カメラ)を比較した際に、大きく異なる点は「事前に大腸を綺麗な状態にする必要がある」という点です。この工程を行わないと、便が邪魔をしてしまい詳細な観察ができません。
まずは診断から
大腸内視鏡検査を行う場合は、前日から食事などを制限していく必要があります。診察をしながら、その説明をさせて頂きます。不明点・不安な点は事前に解消しておきましょう。
前処理について
大腸を綺麗にする準備として、大腸内を洗浄していく必要があります。
前処置方法は、
- 在宅洗浄法
- 院内洗浄法
の2つに大きく分類されます。
患者様のお身体の状態やご要望に合わせて選択させて頂きます。
在宅洗浄法
- 周囲に気兼ねすることなく準備したい方
は、在宅での洗浄がおすすめです。
ご自宅でリラックスしながら、下剤を服用することができます。
院内洗浄法
- お住まいが遠方の方
- ご自宅での準備に不安がある方
には、院内洗浄法をおすすめさせて頂きます。
準備
検査前日
食事の注意
明日の検査に備えて、前日には検査食をおすすめします。検査当日の腸管法浄剤の洗浄効果が向上して、検査の精度を上げることが期待できます。
水分はたくさん摂って頂いてかまいません。なるべく水・お茶にしてください。(コーヒー・紅茶などは極力控える)
夕食は早めに済ませてください。水分の制限はありません。あとはゆっくり身体を休めてください。
検査当日のながれ
検査当日の朝
常用薬を服用されている方
予め、当クリニックまでご相談ください。事前に控えるよう指示があった場合は、内服しないように注意してください。
来院・受付
ご予約の時間に間に合うように余裕を持っていらしてください。
検査準備
受付が済んだら、「腸管洗浄薬」を内服して頂きます。服用後は、まず1時間程度休んで頂きます。服用後は排便が頻回になり、水のような便が数回排泄されるようになります。
2時間程度経過すると、次第に便意が落ち着いてきます。透明な便が排出されたら、検査の事前準備は終了です。
検査開始
ベッドに横になって頂き、検査をはじめていきます。直腸診を行ったあと、肛門から内視鏡をゆっくりと挿入していきます。
お腹の張りを軽減する工夫
内視鏡検査時の送気は二酸化炭素を用います。二酸化炭素を使用することで、検査後のおなかの張りを軽減させることができます。
検査後
無事、検査が終わりましたら、休憩して頂きます。
検査終了・結果説明
検査中に撮影した画像を元に、患者様に診断結果をお伝えさせて頂きます。
病変などの異常が見当たらない方は、結果をお伝えして終了です。
注意)
検査時に組織を採取した場合、病理結果が出るまで10~14日ほどの期間を頂きます。
再度、受診していただく必要がありますのでご了承ください。
診断結果に合わせて、次の検査の望ましい時期をお伝えさせて頂きます。
検査後の飲食について
検査終了から、30分程度経過しましたら、問題なく飲料できます。お食事はおおよそ60分程度経過してから摂るようにしましょう。
検査で組織を採取した方について、
- 消化の悪い食べ物
- アルコール類
は、極力避けるようにお願いいたします。
翌日以降は、普段通りのお食事を摂って頂いて構いません。